誰がどこまで負担するのか問題をスッキリ整理!
「これ、誰が直すの?」が一番モメる!
原状回復工事の現場では、「ここ、誰の負担で直す?」というやり取りが非常によくあります。
中でもややこしいのが、自然損耗・経年劣化・故意過失の境界があいまいな“グレーゾーン”の修繕です。
大家さん・管理会社・職人、さらに退去する入居者の間でも、解釈が分かれるこの問題。
本記事では、よくあるグレーゾーンの例とその判断基準、トラブルを防ぐ方法を詳しく紹介します。
「原状回復」の基本ルールとは?
まずは整理しておきたいのが、「原状回復」という言葉の本来の意味。
国土交通省のガイドラインでは…
原状回復とは、通常の使用によって生じた損耗や経年劣化を除いた損傷を、元の状態に戻すこと。
つまり、以下のような線引きが基本です:
状態 | 修繕負担者 | 例 |
通常使用による劣化 | 大家(貸主) | 家具跡のクロスの凹み、日焼けによる色褪せ |
入居者の過失や故意 | 入居者(借主) | タバコのヤニ、ペットによる傷、飲み物のシミ |
判断が分かれるグレーゾーン | 状況により協議 | 原因不明のシミ、建具の劣化が早すぎる場合など |
⚠️現場でよくある“グレーゾーン”ケース5選
① タバコのヤニ汚れ(長期入居)
問題点:
「長年住んでいたから仕方ない」と入居者側は主張。一方で、クロスが黄ばみ&臭い付きで全張り替えが必要な状態。
判断のポイント:
タバコによるヤニ汚れは「通常使用」ではなく入居者負担が原則。
ただし、契約書や募集時の条件に記載があるかどうかで判断が変わることも。
② フローリングの色落ち・小傷
問題点:
日常生活でついた傷なのか、物を引きずったダメージか判断が難しい。
判断のポイント:
日常使用の傷は貸主負担。
ただし、キャスター椅子の使用などで明らかな摩耗がある場合は入居者側が一部負担になることも。
③ 給湯器の故障(退去時)
問題点:
退去立会いの際、給湯器が動作しない。借主が壊したわけではないが、入居中に報告もなかった。
判断のポイント:
通常は経年劣化として大家負担になるが、壊れている期間や報告義務違反があれば協議対象に。
④ 壁の釘穴・ネジ穴
問題点:
「画鋲はOK」「ネジ穴はNG」など、曖昧な基準が現場でトラブルに。
判断のポイント:
原則として画鋲程度なら通常使用、ネジ穴は借主負担とされることが多い。
契約書に記載されていれば、それが優先。
⑤ ペットによる傷・臭い
問題点:
ペット可物件だったが、壁や床にひどい傷、臭いが残っていた。
判断のポイント:
ペット可=全て無条件OKではない。損傷が過度なら入居者側の負担対象。
トラブルを防ぐには?3つの対策
✔️1. 契約前・入居前にルールを明確に
- 管理会社・大家が“ガイドラインに基づく対応方針”を明記
- ペット・タバコ・DIY可否などは具体的に記載する
✔️2. 退去立会い時に状態を写真で記録
- 言った・言わないを防ぐために写真+記録シートが有効
- 職人・管理会社が現地で一緒に状態確認できるとベスト
✔️3. 工事発注時に「これは誰負担?」を確認
- 曖昧なまま依頼すると、請求後にトラブルになりやすい
- 職人からも「これは借主負担でしょうか?」と確認できる体制づくりを
まとめ|グレーゾーンこそ、明文化&確認がカギ
原状回復の「ここって誰が直すの?」問題は、現場の雰囲気や関係性でなんとなく処理されがちですが、
少しのズレが不信感やクレームにつながることも少なくありません。
だからこそ、
- 契約書やガイドラインで線引きを明文化
- 写真・記録・LINE等で履歴を残す
- 職人・大家・管理会社の三者で「確認・相談しやすい関係づくり」
この3つを意識するだけで、多くのグレーゾーントラブルを予防できます。