【はじめに】
入居者が退去したあとの「原状回復工事」、実際にはどれくらいの日数がかかるのでしょうか?
次の入居者募集やリフォームとの兼ね合いもあるため、正確な作業期間を把握しておきたいという大家さん・管理会社の方も多いはずです。
今回は、原状回復の一般的な作業の流れと、それぞれにかかる日数の目安について、少し余裕を持った現実的なスケジュール感で解説します。
【原状回復工事の基本的な流れ】
原状回復工事は、ただ「壁紙を張り替える」だけではありません。状態によっては、塗装・床の張替え・清掃など複数の工程が必要になります。
一般的な作業順序(※状況により前後あり)
- 現地確認・見積もり作成
- 塗装・下地補修(壁・天井・枠など)
- クロス(壁紙)の張替え
- 床材(クッションフロア・フローリングなど)の張替え
- ハウスクリーニング(仕上げ清掃)
この順番を守ることで、作業のやり直しや仕上がりの劣化を防ぐことができます。
【各工程ごとの所要時間の目安】
作業内容 | 所要期間の目安(広さや状態による) |
現地調査・見積もり | 1日〜3日(連絡から訪問・見積提出まで) |
塗装・補修 | 1日〜3日(壁・天井・木部の状態により) |
クロス張替え | 1日〜3日(1Rなら1日、2LDK以上は2〜3日) |
床材張替え(CF等) | 1日〜3日(施工面積と下地状況による) |
ハウスクリーニング | 半日〜1.5日(汚れ・広さによる) |
【想定ケース別:原状回復の全体所要期間】
🟩 ケース①:1K(約20㎡)・軽度の原状回復
- 内容:クロス・床材の一部張替え、簡易清掃
- 実働作業:2〜3日程度
- スケジュール調整込み:5〜7日程度
🟨 ケース②:2LDK(約50㎡)・中程度の劣化
- 内容:塗装、全面クロス張替え、床材張替え、清掃
- 実働作業:4〜6日程度
- スケジュール調整込み:7〜10日程度
🟥 ケース③:タバコ・ペットなどで状態が悪い物件
- 内容:消臭・下地処理、全面塗装・クロス・床張替え、除菌対応
- 実働作業:7〜10日程度
- スケジュール調整込み:10日〜2週間程度
【繁忙期や職人スケジュールに要注意】
原状回復の所要期間は「実働日数」だけでは決まりません。
以下の要因で、着工までに数日〜数週間の待ち時間が発生する場合もあります。
✅ 特に混み合う時期
▶️ 1〜3月/9〜10月がピーク
- 賃貸業界では退去・入居が集中する時期と一致。
- 特に3月は学生・社会人の引っ越しラッシュにより、原状回復・クリーニング・設備交換などの依頼が殺到します。
- 同様に、9月や10月も移動シーズンで依頼が増加。
📅 繁忙期以外でも“即日対応”が難しい理由
▶️ 理由①:工程が組まれている(段取り命)
- 原状回復は「塗装 → クロス → 床 → ハウスクリーニング」など工程が連動しており、前後の作業者の動きに左右されるため、1人の空きだけでは動けないことも。
▶️ 理由②:職人も“自営”が多く、案件の調整が必要
- 多くの職人は複数の現場を掛け持ちしながらスケジュールを組んでいるため、「今日・明日すぐ」と言われてもすぐに身動きが取れないのが実情。
▶️ 理由③:材料手配・下見が必要
- 見積もり提出後すぐ工事に入れるとは限らず、資材調達や現場確認が必要なケースもあるため、物理的に即日対応は困難なことも。
🛠️ 「なるべく早く動いてもらう」ための段取りコツ
✅ 1. 退去予定が出た時点で相談・予約
- 可能であれば「仮押さえ」でもOK。
- 「〇月〇日退去予定なので、翌週以降空いていたら…」と予告ベースで声をかけておくだけでも、対応率が変わります。
✅ 2. 写真・間取り・希望内容は事前に共有
- 「現地を見ないと判断できない」を防ぐため、LINEやメールで写真・広さ・傷みの内容を共有しておくのが理想。
- 工事の内容が明確だと、見積もり〜着工までの流れがスムーズ。
✅ 3. 「どこまで直す?」の優先順位を事前に伝える
- 予算内で最低限にするのか、しっかりリフォームするのかなどを明確にすることで段取りが立てやすくなります。
【大家さん・管理会社向けアドバイス】
- 退去連絡があったら、すぐに見積もり依頼を(退去予定の段階で相談する)
- 物件の状態(喫煙・ペット・DIYの痕など)は事前に職人に伝える
- 工程に余裕を持って10日〜2週間程度は見ておくのが理想
【まとめ】
原状回復の所要期間は、工事内容だけでなく「職人のスケジュール」や「物件の状態」によって大きく変わります。
内容レベル | 実働日数 | 全体期間(調整含む) |
軽度 | 2〜3日 | 5〜7日程度 |
中程度 | 4〜6日 | 7〜10日程度 |
重度 | 7〜10日 | 10日〜2週間程度 |
スムーズに工事を進めるためには、早めの段取りと正確な情報共有がカギです。
信頼できる職人との関係性があると、急な対応にも柔軟に動いてもらえることが多くなります。