【はじめに】
原状回復工事は、退去から次の入居者募集までの大切なタイミングで行われます。
ところが、現場に入ってみると「これはちょっと困ったな……」というケースも少なくありません。
この記事では、実際の原状回復現場で職人が直面した“困った事例”を5つ紹介し、それぞれに対して大家さんや管理会社ができる対応策を提案します。
【ケース①】まだ荷物が残っている(残置物)
状況:
部屋の中に入ってみると、ゴミ袋や古い家具、衣類などの「残置物」が放置されたまま。
職人の声:
「荷物があると作業できませんし、誤って捨てるとトラブルにもなります」
対策ポイント:
- 退去後の残置物は、入居者 or 大家で事前に片付けておくこと
- 必要があれば、専門の残置物撤去業者に依頼
【ケース②】鍵がない・鍵が違う
状況:
現場に到着したが、管理会社から渡された鍵が合わない or 鍵が見つからず作業できない。
職人の声:
「開けられないと帰るしかない。日程がズレてしまうと他の現場にも影響する」
対策ポイント:
- 鍵の準備は前日までに確認
- スペアキーの受け渡し・返却方法を明確にしておく
- オートロックの場合は共用部の開錠方法も共有
【ケース③】ペットの毛・異臭・強い汚れ
状況:
入居者がペットを飼っていたが申告されておらず、床や壁に大量の毛や強い臭い、粗相の跡が…
職人の声:
「通常の原状回復より大がかりになる。事前に言ってもらえれば対応できたのに…」
対策ポイント:
- ペット飼育の有無を職人に事前共有
- 臭いや除菌の必要性がある場合は専門クリーニングを検討
【ケース④】スケジュールが詰まりすぎている
状況:
退去から次の入居まで2日しかない!
クロス貼り替え・床張替え・クリーニングを同時に行う羽目に…
職人の声:
「床とクロスは同時にできない。順番があるんです」
対策ポイント:
- 原状回復には工程の順番がある(例:クロス→床→クリーニング)
- 各工事に最低限必要な日数を事前に把握
- 職人に事前に工程スケジュールを確認・相談
【ケース⑤】契約内容と実際の現場が違う
状況:
「壁1面のクロス貼り替えだけ」と聞いていたが、現地に行くと全体がボロボロ。実際には全面施工が必要。
職人の声:
「急にやる内容が増えると、時間も材料も足りなくなります」
対策ポイント:
- 依頼前に写真や動画で現状を共有
- 可能なら現地確認(下見)をお願いする
- 正確な作業範囲を双方で確認し、見積もりを明確に
【まとめ】
原状回復は「段取り8分」。
大家さん・管理会社と職人が事前に情報をしっかり共有し、信頼関係を築くことがスムーズな工事につながります。
- 残置物や鍵の問題は前もって防げる
- スケジュールや作業範囲は細かく確認
- トラブル事例を知ることで、次の現場がスムーズに!