記事のねらい

原状回復工事における「想定外」や「仕上がりトラブル」を未然に防ぐために、依頼前の確認事項と完了後の確認項目をチェックリスト形式で整理。
大家さんや管理会社が現場経験がなくても安心して使える実務的なガイドとして使える内容です。

【はじめに】

「原状回復工事を頼んだけど、なんだか仕上がりが納得いかない」
「ここも直してくれると思っていたのに…」

そんな行き違いや後悔を防ぐには、工事を依頼する前と完了した後に“確認しておくべきこと”を押さえておくことが何より大切です。

本記事では、実際の現場でトラブルになりやすいポイントをもとに、
✅ 依頼前チェックリスト
✅ 完了後チェックリスト
に分けてご紹介します。


✅ 原状回復工事【依頼前】チェックリスト

依頼前の確認不足が、後の「言った/言ってない」トラブルの元になります。
以下の項目を、見積もり依頼時または着工前に必ず確認しましょう

項目チェック内容
🔲 工事範囲の明確化どこを・何を・どこまで直すか。塗装・クロス・床・清掃など、対応範囲を明示してもらう。
🔲 追加工事の発生可能性「見えない箇所」による追加費用の可能性を説明してもらう。必要なら想定金額も確認。
🔲 施工スケジュールの確認着工日、完了予定日、作業日数、職人の空き状況を確認し、余裕を持った調整を。
🔲 使用する素材・グレードの確認クロス品番・床材種類・塗料の色など、できれば実物サンプルや写真で確認する。
🔲 鍵の受け渡し方法立ち会いの有無、どこで鍵を受け取る/返すかの段取りを決めておく。
🔲 写真記録の依頼ビフォー・アフターの写真撮影をお願いしておくとトラブル防止に役立つ。
🔲 費用の支払い条件総額・支払いタイミング(完了後・分割など)・請求書の形式などを明確に。

✅ 原状回復工事【完了後】チェックリスト

工事完了の報告を受けたら、以下の項目を実際に目で見て確認しましょう。
確認後にOKを出せば、次の入居者募集も安心して進められます。

項目チェック内容
🔲 クロスの仕上がり確認浮き・ヨレ・糊のはみ出し・つなぎ目などが目立たないか。色や品番に間違いがないか。
🔲 床材の施工確認床材のズレ・浮き・端部の処理、歩いたときの沈みや音鳴りなどを確認。
🔲 塗装・木部補修の確認ドア枠や巾木の塗装がムラなく仕上がっているか。刷毛跡がないか。
🔲 ハウスクリーニング状態水回りの水垢・カビ・油汚れがしっかり落ちているか。エアコン表面や換気扇も要チェック。
🔲 臭いや生活感の残りタバコ・ペット臭など、生活臭が残っていないか。消臭作業が適切だったか。
🔲 不具合の有無ドア・窓の開閉、照明・コンセントの動作など、軽く動かしてみて問題がないか。
🔲 アフター対応の確認不具合や手直し依頼はどのように連絡すればよいかを確認しておく(連絡先・期限など)。

まとめ|確認を怠らず、信頼関係を築こう

原状回復工事は、「頼んで終わり」ではありません。
確認すべきポイントを押さえるだけで、トラブルの9割は防げます。

職人側も、丁寧な説明と写真記録を残しておくことで、
信頼を得られ、リピート依頼にもつながります。

「チェックリストをもとに丁寧なやり取りを」——
それが、大家さん・職人さん双方にとって最良の結果を生む近道です。