「たしかに言ったはず」…でも伝わっていなかった?

原状回復や内装工事の現場では、職人さん・管理会社さん・大家さんの間でさまざまな情報共有が行われます。
しかし、その中で最も多いトラブル原因の一つが「口約束」や「言ったつもり」によるすれ違いです。

「そういう意味じゃなかった」
「ちゃんと聞いていなかった」
「書面が残っていない」

こうした事態は信頼関係にも関わってきます。

今回は、実際の現場で起こりやすい“口約束トラブル”5選を紹介し、その対策方法を解説します。


❗内装現場でよくある「口約束トラブル」5選


① クロスの品番や色の伝達ミス

よくあるパターン:
「この壁紙でいいよ」と口頭でOKしたつもりが、実際は違う品番で発注・施工されていた。

なぜ起こる?
・似たような色・柄が多い
・写真で伝えても光の加減で違って見える
・正式な型番やメーカー名が控えられていない

トラブルを防ぐには?
✅ 品番・メーカー名まで明記
✅ LINEやメールで「この画像の壁紙でOK」と残す


② 工期の“急ぎ”感覚の違い

よくあるパターン:
「急ぎでお願い」と言われたので1週間以内と思っていたら、相手は“翌日着工”を想定していた。

なぜ起こる?
・「急ぎ」の基準が人によって違う
・書面に納期記載がない
・スケジュールを双方で確認していない

トラブルを防ぐには?
✅ 「いつまでに完了希望ですか?」と具体的に確認
✅ 見積書や発注書に工期を明記


③ 作業範囲の思い違い

よくあるパターン:
「トイレもお願い」と言われたので壁紙だけだと思っていたら、床や天井も依頼されていた。

なぜ起こる?
・「お願い」と言われた範囲が曖昧
・事前確認がなかった
・作業内容の記録が口頭のみ

トラブルを防ぐには?
✅ 作業内容は箇条書きで書き出す
✅ 写真にマーカーや注釈を入れて共有する


④ 「サービスでやっておいて」が無料の意味に

よくあるパターン:
「ここはサービスで直しておきますね」と言ったら、後日請求されたとしてクレームに。

なぜ起こる?
・“サービス”の解釈の違い
・軽作業と見積対象の線引きが曖昧
・サービスが請求に入っていた

トラブルを防ぐには?
✅ 無償/有償の判断は事前に明確に伝える
✅ 作業完了後の請求書で備考をつける(例:「補修◯◯は無償対応済み」)


⑤ 「いつも通りで」からの金額トラブル

よくあるパターン:
「いつもと同じ仕様・金額でお願い」と言われたが、今回は仕様が異なっていたため費用が上がった。

なぜ起こる?
・仕様変更に気づいていない
・過去の工事内容が共有されていない
・値上げ分の説明不足

トラブルを防ぐには?
✅ 過去の仕様と今回の内容を比較して伝える
✅ 金額変更の根拠を丁寧に説明し、書面に明記する


防ぐための3つのコツ|口約束に頼らない関係づくり


✔️ 1. メールやLINEで記録を残す

・「念のため、確認です」と文面で残す
・写真やPDFも活用して視覚的に伝える

✔️ 2. 簡易発注書 or チェックシートを使う

・仕様、納期、費用などをA4一枚にまとめて相互確認
・職人側が雛形を用意しておくとスムーズ

✔️ 3. 作業前・完了時に小まめな報告を

・「これから作業に入ります」「仕上がりました」など、節目で報告
・完了後は写真+一言のメッセージが好印象


まとめ|口頭ではなく「共有・記録」がトラブルを防ぐ

内装工事の現場は「スピード感」が求められる反面、確認不足によるミスやトラブルが信頼関係を壊すこともあります。

職人・管理会社・大家、それぞれの立場で「あとで確認できる」「記録に残る」形でやり取りをする意識を持つだけで、不要な揉め事は大きく減らせます。

「伝えたつもり」「聞いた気がする」ではなく、“残すコミュニケーション”を意識してみましょう。